【連載講和】所長 内野和顕『慢性心不全−1』


『慢性心不全−1』心臓の収縮機能の低下による心不全。

心臓は全身に血液を送り出すポンプです。心臓のポンプ機能が低下した状態が「心不全」です。不整脈、心筋梗塞をはじめ全ての心臓病が悪化すると心不全が発症します。心不全の症状には息苦しさ、下肢のむくみなどがあります。

現在のところ、心不全の悪化を防ぐ治療はあっても、完璧になおす治療法はないのです。そのため慢性という言葉をつけて「慢性心不全」と呼ぶことが多いのです。しかし、患者さんがこの病気と上手にお付き合いし、治療薬とともに食塩摂取制限などの生活習慣の修正もきちんとされれば、病気の悪化は防げます。

心臓のポンプ機能として左心室の収縮機能と拡張機能が重要です。心臓の左心室は左心房から血液を受け取り大動脈に送り出します。左心房から血液を受け取る時、左心室は拡張します。大動脈に血液を送り出す時、左心室は収縮します。注目すべききは収縮機能が低下した心臓では左心室の内腔が拡大して来ることです。心臓は一回に約80mlの血液を身体に送る必要があるのですが、左心室の収縮機能が低下して、一回の収縮で約50mlの血液しか送出できなくなると左心室は拡大して来るのです。左心室が拡大すれば、左心室があまり収縮しなくても1回で80mlの血液が送れるので、心臓を拡大させて収縮の低下を補おうとするのです。健康診断の胸の写真で心陰影の拡大を指摘された方は心エコー図検査を受けましょう。 心エコー図で左心室が拡大し収縮力が低下していれば心不全と診断できます。

次回は左室の拡張機能低下による心不全についてお話しします。